プロエンジニアをあなたのDAWに - Curves AQ Review by JUVENILE
音楽プロデューサー、ビートメイカーのJUVENILEです。Wavesのプラグインは僕がDTMを始めたときからずっと使っている仕事に欠かせない道具なのですが、今日は新製品であるCurves AQについてのレビューをさせて頂きたいと思います!
2025.06.06
AIの活用は今後必須スキル
対話型のAIサービスをはじめ、様々なAIが台頭して当たり前のように皆がAIに触れる世の中になりつつある2025年現在ですが、我々音楽業界・制作の現場も例外ではありません。
昨今様々なディベロッパーからAI技術を使ったプラグインがリリースされていますが、Wavesからも既にいくつか発表されています。中でもノイズや空間のリバーブをワンノブでカットしてくれるClarity Vxシリーズは実にWavesらしい商品と言えるでしょう。そして今回ご紹介するCurves AQはAIが搭載されたEQプラグインです。
パソコンの中に24h待機のエンジニアがいてくれている感じ
従来の「スマートEQ」と呼ばれるAI搭載のEQは、実のところ決まったプリセットカーブを適用するだけで、詳細な調整はできないものがほとんどでした。そこでWavesによって開発されたのがCurves AQ – 世界初の自律型EQです。
Curves AQはこのような製品となります。
個人的にはこの「5パターン提示してくれる」というのが他のプラグインにはない素晴らしい特徴だなと思いました。パソコンの中に自分専属のエンジニアが常時待機してくれていて、自分がEQしてほしいソースをAIエンジニアに聴かせれば、様々なEQパターンを提案してくれるような感覚です。
Wavesらしい直感的でシンプルな操作性
“Learn”ボタンを押すと、ニューラルネットワークがトラックに最適なサウンドターゲットを決定します。 これを「スペクトルターゲティング」と呼び、白いカーブで表示される5種類のEQプロファイルから選択できます。
青がカット処理、赤がブースト処理だということが一目でわかるようになっています。白い線で表示されたスペクトルターゲットに合わせて適用されます。 中央下の大きな丸いノブで全体の変化量を調整することができ、またバンドごとにも調整が可能です。
左下はスタティックEQかダイナミックEQかの割合を決めることができるセクションになっていて、
- 固定的な補正が必要なトラックにはスタティックEQ
- 適応型の処理が求められる場合はダイナミックEQ
といった具合で自分の思うような処理をすることができますし、両者を組み合わせた柔軟な設定も可能です。
右下はスマートティルトセクションです。通常のティルトEQではなく、スペクトルターゲット全体の形状を調整する機能が搭載されています。適応的なトーン調整が可能です。ターゲットカーブをそのままズラすことができるOFFSET機能もあるので、さらに攻めた処理を行うこともできます!
左上のMixSenseはサイドチェインを使ってミックス内のトラック間の周波数衝突を解消する機能です。例えばキックとベースで低域が干渉し合わないように調整したり、ボーカルのためにトラックの帯域をすっきりさせてスペースを作る、といったような処理の為に強力なツールです。
Advanced Control ボタンを押すと、ダイナミックEQ処理の際のアタック・リリースタイムの設定や、EQ処理によるゲイン変化のオート調整、ステレオ時にはLR処理またはM/S処理にするかを選べたり、パラレル処理によるMIXノブなど、かゆいところに手が届く機能も一通り網羅されています。
肝心のサウンドは比較的ナチュラル傾向
よくWavesのプラグインはWavesのプラグインっぽい音になるということが言われたりしますが、それは欲しいサウンドに最短で辿り着ける長所でもあり、同じようなサウンドになってしまいがちな短所でもあります。ですがこのCurves AQは比較的クセが少ない印象です。
処理したいソースによってInstrumentセクションからはボーカルやドラム、ベースやギター、ピアノやストリングスなど様々な楽器から選ぶことができ、2mIx音源に対してはMixセクションからPopsやHipHop、Jazzなどといった音楽ジャンルから適正カーブを選ぶことができます。ポップスの中でもK-Pop、HipHopの中でもTrap、といったような細分化されたジャンルも選択できるようになっています。
傾向としてMIXセクションはさらにジェントルな処理がされるような印象です。元々の音像を大きく変えてしまうようなことはせず、自然に「聴きやすく」なるような処理をしてくれます。
Curves AQは「もし自分で処理するならこんな感じ」と事前にイメージしているものに割と近いものを第一候補として提示してくれる感覚があり、また第二候補、第三候補、と順に他の提案を聞いてみると、こっちの処理もアリ!と思わせてくれる範囲で系統の異なる処理を提案してくれるのがとても新鮮でした。パソコンの中に自分専属のエンジニアが24h体制で待機してくれていて、常に複数パターン処理の提案をしてくれるような感覚で非常に楽しいです。
これからミックスを勉強したい初心者の方も、この処理結果に対して一定の信頼を持ってもらって問題ないと思います。EQ処理に唯一解のような絶対的な正解はありませんが、第一候補としてはこう、第二候補としてはこう、のようなセオリー的な処理は確かに存在していますので、それを学ぶには絶好の先生になってくれるかもしれません。
ただやはりAIはあくまで私たち人間をサポートしてくれるツールであって、AIが言っていることが絶対に正しいと思い込まないことはとても重要だと思います。いくら優秀とはいえ百戦錬磨の凄腕エンジニアの処理にはまだまだ及ばないでしょうし、玄人素人関係なくAIが提案してくれた結果に対して私たち人間は主観によって取捨選択する必要があります。
思いつく有意義な使い方としては、我々のようなプロにとっては時短ツールとして非常に有用ですし、自分ではすぐに思いつけなかったような新たな解釈・処理が欲しい時にも便利です。EQ処理にあまり自信がない方やこれからMIXを学びたい方にとってはとても頼もしい先生となってくれるのがこのCurves AQです!
JUVENILE プロフィール
Music Producer/ Mixing ,Recording Engineer音楽プロデューサー/アーティスト/トークボックスプレイヤー
最新記事

日本限定ボーカルバンドル・クリエイターレビュー
2026年4月16日、WAVES史上初となる日本限定のボーカル・バンドル「Smart Vocal Collection」が公開。音楽シーンの最前線を走るクリエイター陣にその実力を徹底解説していただきました。それぞれの制作現場から届いた

Waves LV1コンソール用 拡張フェーダー「eMotion LV1 Control」2026年5月1日(金)発売決定!
LV1 Controlは、eMotion LV1 Classicデジタル・ミキシングコンソール用のフェーダー拡張ユニットとして設計されたプレミアムなコントロールサーフェスです。モジュラー式のeMotion LV1システムのフェーダーバンクと

Waves LV1 Classic 導入事例 清水 祐範 氏(Hmmm.)
Waves eMotion LV1 / LV1 Classic を導入されたユーザーの、ライブサウンド現場での活用事例をご紹介します。

Waves LV1 Classic 導入事例 中嶋 優 氏(株式会社G-SOUND / 吉祥寺SHUFFLE)
Waves eMotion LV1 / LV1 Classic を導入されたユーザーの、ライブサウンド現場での活用事例をご紹介します。

Sync Vx 新バージョン登場! ボーカル・アライメントを、もっとシンプルに。
これまでSync Vxは、ARA対応DAW(Pro Tools / Logic、Cubase など)限定のワークフローに依存していました。そのため、FL StudioやAbleton Liveなど、その他DAWユーザーにとっては日常的に使えないツールでもありま

Waves LV1 Classic 導入事例 吉村 武史 氏(フリーランス)
Waves eMotion LV1 / LV1 Classic を導入されたユーザーの、ライブサウンド現場での活用事例をご紹介します。
人気製品

Curves Resolve
選んだサウンドは間違いない。アレンジも決まり、トラック同士の勢いもある。なのに、ミックスが濁る... それは、複数のトラックが同じ周波数帯を奪い合っているからです。これが音のマスキングと言われる現象です。

Magma StressBox
ミックスを停滞させる“平坦な”音源に悩んでいませんか?EQ、コンプレッション、サチュレーションを試しても、心踊るサウンドが出てこない…そんな時に活躍するのが StressBoxです。

L4 Ultramaximizer
1990〜2000年代、L1やL2は音圧を稼ぐプラグインの代名詞でした。Red Hot Chili Peppers、Metallica、Timbalandなど、数え切れない名盤に使われ、そのサウンドは世界を席巻しました。しかし今、音楽は単なる音圧では

Clarix LB
Clarix LB は、放送配信向けの音声に特化したAIノイズリダクションプラグインです。環境雑音をリアルタイムで除去し、屋外ロケやリポーター、ライブ配信など、ライブ音声のトリートメントに最適です。

InTrigger Drum Replacer
InTrigger Drum Replacer は、Wavesが提供するインテリジェントなドラムリプレイスメント・プラグインです。単なるトリガー検出を超え、ゴーストノート・ダイナミクス・ブリードを高精度に解析し、プロフェッショナ

Curves AQ
Wavesは常に革新を追求しています。Clarity Vx、DeReverb、Silk Vocal、IDX、Curves Equator、Sync Vxなどの開発を通じて、新たなサウンド技術の限界を押し広げてきました。そして、ついにEQにも革命が起こります。

Sync Vx
音楽制作で誰もが経験する悩み「バッキングボーカルやダブルトラックをリードボーカルに完璧に揃えるための、果てしない手作業」わずかにズレたボーカルトラックが、プロフェッショナルな仕上がりとアマチュア感の分

IDX Intelligent Dynamics
IDX Intelligent Dynamicsは、トラックのエネルギーを最適化し、パンチとフォーカスを強めることが可能です。平坦で退屈なミックスにノブ1つで活力を与えます。

